JAWS DAYS 2014 Immutable Infrastructure パネルディスカッション

JAWS DAYS 2014のImmutable Infrastructure パネルディスカッションでモデレーターをしましたのでそのまとめです。満員でしたので、ご覧になった方々にはありがとうございました!

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事前に勉強も兼ねて、次のメモを書いておいた( https://gist.github.com/stanaka/9547623 )のですが、このパネルでは個人的にも議論してみたかった話も含め、6名のパネリストに以下の質問をさせてもらいました。

  • IIを突き詰めていくと、どんどんPaaSに近づいているのでは?
  • IIを実現する上で、なにが一番の課題となるか?
  • Statefulサーバーはどのように扱うべきか
  • 最後に一言

冒頭の最初のIIを突き詰めるとPaaSになっていくのでは?という話では「技術的にどんどん新しいハード、ツールは出てくるので、ニーズはPaaSとIaaSの間を揺れ動くことになると思う」(@mirakuiさん) 「エンタープライズなど、PaaSではカバーできない要件のシステムは相当な規模が残る。エンタープライズな人は」(@naoya_itoさん) 「DevOpsからNoOpsになっていくという話もある」(@sawanobolyさん)という話がありました。IaaSからPaaSと抽象度が高くなるにつれ、サービス仕様が汎用的になり、新技術の導入スピードも必然的に落ちていくので、ニーズが揺れ動くという話や、エンタープライズで難しい領域は残る、という話は説得力がありました。

IIを実現するところでの課題でもいろいろな意見があり、「そもそも継続テストしようとか先にやるべきことがまだまだあるところが多い」(@ryuzeeさん)や「IIという概念があることで、どういう方向を向いてコードを書けばよいかが分かる。そうすれば将来IIにする時もスムーズにいける」(@kentaroさん)というII導入以前の状態の観点からの意見が多くありました。また「ツールの成熟や事例を積んでいく必要がある」(話者は失念..)という意見もあり、具体化するにはまだまだ課題が多いですね。

また皆さんStatefulのところは、(私も含め)まだまだ良い手はないようですが、「アプリケーション側がIIのスタイルになっていくことで、データベースも(開発用に)ブランチが簡単に切れたりなると面白い」(@naoya_itoさん)というアイデアはなかなか魅力的でした。データベース側はなかなか制約が大きく重いので、簡単な解決策は難しいですが、徐々に新しい手段が導入できるようになると面白そうです。

最後の一言では、@kentaroさんの「Immutable Infrastructureは、日本伝統の伊勢神宮式年遷宮と同じですので、いわば式年遷宮アーキテクチャです」に全部もっていかれました。

Immutable Infrastructureはこれまで一部では既に行なわれていたことに名前がついて一気にメジャーになった技術的概念の典型だと思います。概念についてはもう相当に話してお腹一杯なので、次は具体的なツールの詳細の話や、実際に実践した際の課題やノウハウについて、掘り下げていきたいですね。

というわけで、ちょうど今月末の3/25夜にImmutable Infrastructure ConferenceをヒカリエでDeNAさんの会場を借りて開催します。もう満員なのですが、Ustreamも予定していますので、こちらも是非チェックしてください!

Immutable Infrastructure パネルディスカッション(3/15)

いよいよ明日はAWSのユーザーズグループ最大のイベントJAWS DAYS 2014が開催されます。

私は「Immutable Infrastracture パネルディスカッション」のモデレータを拝命していますので、どのようなことを話そうと思っているか事前にエントリにしてみます。

このパネルディスカッションのパネリストは、Immutable Infrastructureトラックの豪華スピーカー陣、伊藤 直也氏、成田 一生氏、澤登 亨彦氏、吉羽 龍太郎氏、宮下 剛輔氏、栗林 健太郎氏の方々がずらりと並びます。改めてみるとだいぶ壮観ですね。

Immutable Infrastructureはいくつかの概念が含まれているため、パネルに向けて整理も兼ねてこれまでの関連エントリのリンク集にまとめてみました。

https://gist.github.com/stanaka/9547623

また明日ディスカッションをしてみたいことは次のようなことです。

  • Immutable Infrastructureって(文字長が)長くない?
  • 実装がPaaSに近づいていくけど、IaaSとPaaSの使い分けは?
    • Private PaaS (on IaaS) vs Public PaaS という世界観?
  • IIの実現にあたっての課題は?
  • IIはどれぐらいのユーザーに影響するか?
  • どれぐらいの勢いで普及していきそう?

これらの問題は、まだ私もしっかりとしたイメージが付いていないところですので、パネリストの皆さんの意見を聞きつつ、いろいろ議論してみたいと思っています。(文字長の話はともかくw)

あともう一つ、パネルディスカッションの直前に「IaaSとPaaSの微妙な関係」で、アプリケーションを動かす時に、IaaSとPaaSのどっちを使えばいいの?というパネルでの前置きとなるようなトークもしますので、こちらもよろしければ!

では、明日、JAWS DAYS2014でお会いしましょう!

AWSユーザーにもお勧めできる「インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門」

興味をそそられたので読んでみました。

インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門

インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門

本書の内容は、ネットワークの物理的なレイヤーから、ネットワークプロトコルの概要、セキュリティ(主にSSL)や負荷分散や可用性の確保など、幅広い内容に及んでおり、それぞれの分野が網羅的に書かれています。各技術についても、すぐに古くなりがちな個別の実装の詳細に入るのではなく、プロトコルや設計ポリシーなど基礎的、基本的なところがしっかりと記述されており読み応えがあり、また数年単位で長持ちする知識が得られます。

例えば、第1章の「物理設計」では、機能分散や冗長化まで考慮された、具体的な機器の構成例まで図にしてあり参考になりますし、機種選定の方針までも書かれています。第3章の「セキュリティ設計・負荷分散設計」では、TCP/IPレベルの挙動から、HTTP上でのセッション制御や、SSLでの証明書のやりとりまで書かれており、ここだけで一冊の本になりそうな内容の厚みがあります。

第0章に対象読者として「サーバサイトを設計したいネットワークエンジニア」「ネットワークを知っておきたいサーバエンジニア」「サーバサイトを運用管理するサイト管理者」と書かれているのですが、AWSだけを使っているアプリケーションエンジニアにも、読んでおく価値があると思います。AWSでも不具合や不調、パフォーマンス限界にあたることは時々あり、いろいろ調べていくとこの本でかかれているようなレイヤーの問題が発生しているんだろうな、と推測されることがあります。もちろん本当にネットワークレイヤーの問題だった場合には、AWSの中の人の対応を待つか、work-aroundを入れるしかないのですが、それでも問題の切り分けや、原因分析のスピードは違ってきます。

というわけで、本書はいわゆるインフラエンジニアだけではなく、ちゃんと自分で深い問題分析を行いたいアプリケーションエンジニアにもお勧めできる本です。

またよりネットワークの基本から知りたい方は、定番のマスタリングTCP/IP 入門編をお勧めします。(第5版になってたんですね。)

マスタリングTCP/IP 入門編 第5版

マスタリングTCP/IP 入門編 第5版

さようなら、自作サーバー

一昨日、自作サーバー同窓会というイベントを開催しました。 このイベントは2009/11(4年半前!)に開催した自作サーバーカンファレンスに登壇された方々を中心に、自作サーバー現役の方々を交え、あの頃の自作サーバーと、自作サーバーの今を振り替えってみようという趣旨のものでした。

イベントの詳細は吉岡さんのエントリ桑野さんのエントリ@nekoyaさんのエントリtoggetterのまとめを参照してください。

僕の思いは「自作サーバー同窓会」という名付けに集約されています。AWSが常識になり、物理的な世界との距離が広がりつつある今、各社の様々な取り組みなどを楽しく振り返ることができました。

さようなら、自作サーバー。いろいろな面白い経験と仲間を得ることができました。登壇及び参加された皆さん、ありがとうございました!

余談

会場はフリークアウトさんの新オフィスで、シャレオツすぎて、前向きになれました。 また新しい方向に向けて、楽しく探求していきましょう。