AWSユーザーにもお勧めできる「インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門」

興味をそそられたので読んでみました。

インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門

インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門

本書の内容は、ネットワークの物理的なレイヤーから、ネットワークプロトコルの概要、セキュリティ(主にSSL)や負荷分散や可用性の確保など、幅広い内容に及んでおり、それぞれの分野が網羅的に書かれています。各技術についても、すぐに古くなりがちな個別の実装の詳細に入るのではなく、プロトコルや設計ポリシーなど基礎的、基本的なところがしっかりと記述されており読み応えがあり、また数年単位で長持ちする知識が得られます。

例えば、第1章の「物理設計」では、機能分散や冗長化まで考慮された、具体的な機器の構成例まで図にしてあり参考になりますし、機種選定の方針までも書かれています。第3章の「セキュリティ設計・負荷分散設計」では、TCP/IPレベルの挙動から、HTTP上でのセッション制御や、SSLでの証明書のやりとりまで書かれており、ここだけで一冊の本になりそうな内容の厚みがあります。

第0章に対象読者として「サーバサイトを設計したいネットワークエンジニア」「ネットワークを知っておきたいサーバエンジニア」「サーバサイトを運用管理するサイト管理者」と書かれているのですが、AWSだけを使っているアプリケーションエンジニアにも、読んでおく価値があると思います。AWSでも不具合や不調、パフォーマンス限界にあたることは時々あり、いろいろ調べていくとこの本でかかれているようなレイヤーの問題が発生しているんだろうな、と推測されることがあります。もちろん本当にネットワークレイヤーの問題だった場合には、AWSの中の人の対応を待つか、work-aroundを入れるしかないのですが、それでも問題の切り分けや、原因分析のスピードは違ってきます。

というわけで、本書はいわゆるインフラエンジニアだけではなく、ちゃんと自分で深い問題分析を行いたいアプリケーションエンジニアにもお勧めできる本です。

またよりネットワークの基本から知りたい方は、定番のマスタリングTCP/IP 入門編をお勧めします。(第5版になってたんですね。)

マスタリングTCP/IP 入門編 第5版

マスタリングTCP/IP 入門編 第5版